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ビルメンテナンス・警備の会社売却相場

ビルメンテナンス・清掃・設備管理・警備の株式価値は、中小企業M&Aの実務では EBITDAの3.5〜6.0倍、または 時価純資産+実態利益の2〜5年分 がレンジです。この記事では、その根拠と買い手が見るポイント、計算例、売却前にできる準備を解説します。

EV/EBITDA倍率
3.56.0
中央 4.5倍
営業権年数
25
中央 3年
DCF割引率
9〜13%
非上場・小規模の目安
ビルメンテナンス・警備のイメージ
写真はイメージです
この記事の要点
  1. ビルメンテナンス・警備のEBITDA倍率は3.5〜6.0倍、営業権は利益の2〜5年分が実務レンジ
  2. 年間契約の比率と継続年数
  3. 最低賃金上昇で人件費が上がる中、単価改定できていない契約は利益の質が低いと見られる

相場の見方:なぜ「3.5〜6.0倍」なのか

全業種の下限 2.5倍上限 12.0倍3.5倍中央 4.5倍6.0倍
EBITDA倍率:全業種の中での位置

非上場の中小企業は、上場企業の類似会社倍率よりも低い水準で取引されます。株式をすぐに換金できない「非流動性」と、規模が小さいことによる事業リスクが織り込まれるためです。ビルメンテナンス・警備の場合、業界の平均的な成長性、参入障壁、属人性の傾向から、EBITDA倍率は3.5〜6.0倍、純資産に上乗せする営業権は実態利益の2〜5年分がレンジになります。

重要なのは、レンジのどこに位置するかは会社ごとの「質」で決まるという点です。同じ営業利益3,000万円でも、下限と上限では株式価値が1.5〜2倍違います。以下の評価ポイントは、その位置を決める要因です。

買い手は誰か

大手ビルメン・警備会社(エリアと契約の獲得)、不動産管理会社(内製化)、投資ファンド(ストック性を評価)。買い手の種類によって重視する点が変わるため、「誰に売るか」で価格は変わります。

評価を押し上げるポイント

  • 年間契約の比率と継続年数。契約更新率が高いほどストック性が評価される
  • 官公庁・大手不動産との契約実績と入札資格
  • 有資格者(電気主任技術者・ビル管理士・警備員指導教育責任者)の在籍
  • 現場責任者の定着と労務管理

ディスカウント要因

  • 最低賃金上昇で人件費が上がる中、単価改定できていない契約は利益の質が低いと見られる
  • 契約が社長の人脈依存だと更新リスクとして減額
  • 警備業認定の要件(責任者資格)を社長のみが満たしている場合は承継条件になる

計算例:ビルメンテナンス・警備・売上4.50億円の会社

売上高450,000千円、営業利益27,000千円、減価償却費4,000千円、役員報酬20,000千円(承継後の適正水準12,000千円)、純資産110,000千円、現預金80,000千円、有利子負債40,000千円のモデルケースで試算します。

110,000時価純資産+105,000調整後営業利益×3年215,000株式価値(営業権法・中央)単位:千円
純資産+営業権法の中央値まで
正常収益力の調整
営業利益27,000
+ 役員報酬の適正化(20,000 − 12,000)8,000
調整後営業利益35,000
+ 減価償却費4,000
調整後EBITDA39,000
純資産+営業権法
純資産 110,000 + 調整後営業利益 × 2年180,000
純資産 110,000 + 調整後営業利益 × 3年215,000
純資産 110,000 + 調整後営業利益 × 5年285,000
EBITDA倍率法(ネットデット -40,000)
EBITDA × 3.5倍 − ネットデット176,500
EBITDA × 4.5倍 − ネットデット215,500
EBITDA × 6.0倍 − ネットデット274,000

この会社の株式価値の目安は 2.15億円 〜 2.15億円(各手法の中央値)。役員報酬の適正化だけで調整後利益が8,000千円増え、営業権法では中央値で24,000千円分、価値が上がっています。単位:千円。

売却前にできる3つの準備

  1. 契約一覧(顧客・金額・契約期間・更新率)を整備する
  2. 単価改定の実績を作り、人件費上昇に耐える収益構造を示す
  3. 有資格者の育成と、責任者要件の分散

準備には1〜3年かかるものもあります。売るかどうか決めていなくても、いまの評価額と「どの要因で下がっているか」を知ることが、承継の選択肢を広げます。

ビルメンテナンス・警備の売却でよくある質問

契約数が多ければ高く評価されますか?

契約の「継続性」が評価の核です。年間契約が中心で更新率が高ければ、営業権年数は上限(5年)に近づきます。

警備業と清掃業の両方を営む場合は?

それぞれの許認可と契約を評価します。株式譲渡なら許認可ごと承継できるため有利です。

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