- 引き継ぎ期間は6か月〜2年が一般的。最も多いのは1年
- 残留期間は属人性の裏返し。権限委譲が進んでいれば短くなる
- 譲渡価格と残留報酬は分けて交渉し、「最長◯年・合意で短縮可」と書く
なぜ買い手は残留を求めるのか
買い手が最も恐れるのは、社長が抜けた途端に取引先や従業員が離れることです。社長の人脈・技術・信用で回っている会社ほど、引き継ぎ期間は長く求められます。逆に、幹部が育ち、業務が仕組み化されている会社は、短い期間で済みます。
つまり残留期間は「属人性の裏返し」です。売却前に権限委譲が進んでいれば、残留期間も短く、価格も高くなる。両方に効く準備です。
期間と役職の相場
| パターン | 期間の目安 | 役職・関わり方 |
|---|---|---|
| 引き継ぎのみ | 3〜6か月 | 顧問・相談役。取引先への挨拶回り、業務の引き継ぎ |
| 標準的 | 1〜2年 | 取締役または顧問。営業・技術の継続的な引き継ぎ、キーマン育成 |
| 経営続投 | 2〜5年 | 代表取締役のまま。買い手が資本だけ入れる形(ファンド・持株会社型に多い) |
中小企業M&Aでは「1年」が最も多く、次いで「半年」「2年」です。週何日勤務するか、常勤か非常勤かも合わせて決めます。
報酬とロックアップ
残留期間中の報酬は、それまでの役員報酬を基準に、勤務日数に応じて決めます。買い手からは「譲渡価格に引き継ぎの対価も含まれている」として低く提示されることがあるので、譲渡価格と残留報酬は分けて交渉してください。
契約には、残留期間中の競業避止(同業を始めない)、従業員の引き抜き禁止が入ります。また、譲渡代金の一部を残留期間終了後に支払う「アーンアウト」や「分割払い」が提案されることもあります。手取りの確定時期が変わるため、慎重に検討してください。
すぐに引退したい場合
健康上の理由などで早期の引退を希望する場合は、その旨を最初から買い手に伝えてください。買い手は、自社から経営者を派遣できる会社に絞られますが、それを前提に探せば見つかります。その場合、引き継ぎ期間を3か月程度に圧縮する代わりに、マニュアル・顧客リスト・取引先への紹介状などを事前に整備しておくことが条件になります。
残留期間を短くする準備
売却の1〜2年前から、①社長の業務を棚卸しし、幹部に権限を移す、②取引先との窓口を社長以外にも作る、③見積り・技術の根拠を文書化する。これは承継準備のロードマップで述べた属人性の解消そのもので、価格を上げ、残留期間を短くし、従業員の不安を減らす、三つに効きます。
よくある質問
残留期間中に買い手と合わなかったら辞められますか?
契約で定めた期間は原則として勤務義務があります。ただし「双方合意で短縮可」としておけば、実際には話し合いで早期に終えることが多いです。
残留せずに売却することはできますか?
可能です。ただし買い手は限られ、価格も属人性リスクとして下がる傾向があります。幹部が経営を担える体制があれば、残留なしでも高い評価を得られます。
残留中の報酬はいくらが妥当ですか?
常勤なら従来の役員報酬の7〜10割、非常勤なら月数十万円程度が目安です。譲渡価格とは分けて、書面で決めてください。
自社の株式価値を、いま確かめる
決算書の数字を入れるだけで、3手法の株式価値レンジと計算過程を表示。無料・登録不要、入力データは送信されません。結果をもとに、Tsugiyaが無料で実際の相場感と準備をお伝えします。全国対応・秘密厳守。
まだ売ると決めていない方へ:決算書チェックリスト(PDF)と承継準備ロードマップ(Excel)を無料で配布しています。